紅茶や緑茶は実は同じ植物「チャノキ」からできているのはご存じでしょうか?
同じ植物からできているのに、なぜあんなにも色合いや香り、味まで変わってくるのでしょうか。
今回は緑茶と紅茶の違いやチャノキの不思議を調べていきたいと思います。
お茶の起源 お茶はどこで生まれたの?
まずはお茶の起源から。一体どこで生まれ、どういう経路で世界中に伝播していったのでしょうか。
お茶は遙か昔から世界中で親しまれてきました。
発祥の地はベトナム、インド、中国西部などなど色々と説がありますが、現在最有力のお茶起源の地は中国です。
中国最古の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に初めて茶が登場します。
紀元2700年頃のお話です。
一説によると、中国発祥の茶(チャ)は陸路からインドやモンゴル、ロシアに伝わっていきました。
それらの地域ではチャが変化して現在ではチャイとかツァイと呼ばれています。
インドのチャイはカレー屋さんなどで出てくるので知っている方も多いと思います。
一方中国でも福建省では茶のことを(テ)と呼んでいたそうです。これが海を伝ってヨーロッパに伝わりティーになった。という説があります。
それにしても、お茶が無い時代の人々は何を飲んでいたのでしょうか。
水をそのまま飲む習慣は今もありますが、「水しかない」というのと「色々な中から水を飲む」というのでは結構違いますよね。
お茶が伝わり、初めて「味付の水」を飲んだ人々は一体どれだけ感動に打ち震えたでしょうか。
さて、相当脱線してしまいましたが・・・本題の「緑茶と紅茶の違い」に行きたいと思います。
紅茶と緑茶とウーロン茶の違い
最初にもご紹介しましたが、紅茶や緑茶、ウーロン茶ですら同じ植物から作られています。その名も「チャノキ」です。そのまんまの名前ですね。
「え?でも紅茶と緑茶は全然味も色も違うじゃない?」
と思うかもしれません。紅茶と緑茶の違いはその製造工程に最大の特徴があります。
同じ茶葉ですが、作り方を変えることで「緑茶」、「紅茶」、「ウーロン茶」などに変えているんですね。
チャノキがお茶になるまで
緑茶は緑だから緑茶、紅茶は赤いから紅茶、その通りなんですが、同じチャノキからなんでこんなに色々な色のお茶ができるのでしょうか。
答えは・・・発酵です。
お茶の葉っぱを摘み取って放っておくと、茶葉自らの酵素でどんどん発酵していきます。
発酵が進むと「緑」からだんだんと「赤橙」へと変色していきます。この発酵過程をどこで止めるかでお茶の色、つまり緑茶になるか紅茶になるかが決まるんですね。
お茶と発酵は深い関係にあった
緑茶は発酵させない!
緑茶は発酵させない不発酵茶と呼ばれます。摘み取ったばかりの青々とした茶葉は、すぐに発酵を初めてしまいます。
そこですぐに蒸したり天日に干したりして熱を加えることによって酵素の働きを止めてしまいます。なので、発酵せずに緑色のままお茶にできるんですね。
これが日本の代表的なお茶「緑茶」です。更に製法によって玉露や煎茶、抹茶などに分岐していきます。
ウーロン茶(烏龍茶)は緑茶と紅茶の中間
お茶は放っておくとどんどん発酵が進みます。
どんどんどんどん発酵させる前に途中でストップすると、半発酵茶と呼ばれるお茶になります。
これの代表的なお茶が烏龍茶なんです。
紅茶はお茶の最終形態
茶葉を十分に発酵させ終わると、赤橙の紅茶になります。
これがヨーロッパなどで広く飲まれている「紅茶」です。インドのダージリンやアッサムなど日本でも特に有名ですが、これは茶葉の名前ではなく産地の名前です。
その他のお茶
他にも僅かな発酵だけに留めたお茶「白茶」、とても生産量が少ない貴重なお茶「黄茶」、麹菌を使って発酵させる「黒茶」などがあります。
白茶、黄茶は日本ではあまりなじみがありませんが、とても高価なお茶です。
特に黄茶は中国茶の中でも最も希少価値が高く100gうん万円の物があるそうです。
黒茶は日本人にもなじみがあるプーアル茶などが有名ですね。
他にも花の香りを付けた花茶などがあります。ジャスミンティーなどが有名ですね。
ちなみに、ジャスミンティーはジャスミンをお茶にしたものではなく、ジャスミンの香りだけを緑茶に移したお茶です。
蓮を使った蓮茶などもあり、ベトナムなどで親しまれています。
お茶は健康にいいって本当?
最近、お茶はおいしいだけでなく体によい!ということが盛んに言われていますが本当なのでしょうか?
カテキンは老化防止効果がある?
お茶に含まれるカテキンは最近特に有名ですね。実は、お茶には複数のカテキンが入っています。
名前がめんどくさいので割愛しますが、様々な効果のなかで有名なのが「抗酸化作用」です。
これは動脈硬化などの原因である活性酸素を押さえ込む役割があります。
人間には本来抗酸化力がありますが、年齢とともに落ちていきます。
そこでお茶などの抗酸化物質を取ると、生活習慣病の予防が期待できたりするんですね。
カフェイン摂取で集中力アップ!
そして次に代表的なのがカフェインです。カフェインと言えばコーヒーが有名ですが、お茶にもコーヒーに負けないぐらい含有されています。
カフェインは人間の中枢神経に作用して脳を興奮させ覚醒させる効果があります。
作業の集中力を高める時には最適ですね。また、皮下脂肪燃焼効果も近年注目されています。
ダイエットサプリなんかには必ずカフェインが含まれているのはそのためです。
強いリラックス効果を持つ成分 テアニン
他にはリラックス効果があるテアニンがあります。
これは世界の植物の中でもチャノキとそのごく近い種類の植物にしか確認されていない成分です。
不安傾向が強い人にもリラックス効果を与えることができる成分であることが近年の臨床試験で分かっています。
緑茶と紅茶の違いは長い歴史で培われた人々の智恵だった
不思議な物でほぼ同じ種類のチャノキから摘み取ったお茶ですが、発酵具合で色合いや風味、香りなどが大きく変化します。
さらに製法などによって煎茶、玉露、抹茶など様々に分岐していくのはお茶の奥深さを感じます。
これだけ長い歴史があるということは「需要がある」ということです。
人間は味気ない水ではなく味のあるお茶が飲みたいからこそ様々な種類のお茶を誕生させたのです。
味という以外にも、お茶の様々な効能(カフェインの覚醒効果など)により、水を飲むよりも集中力が増したり、リラックスする効果を実感したからお茶は世界中で楽しまれるようになったのではないでしょうか。
緑茶と紅茶、烏龍茶の違いとは単に色の違いではなく、人々の長い営みの中で、それぞれの国、地域で独自の発展を遂げた結果なんだと分かりました。
その一つ一つの製法に人々の努力の結晶あり、それが今日に伝わる「茶」なんですね。
次にお茶を口にする時は、悠久の歴史と効能を体で感じながら味わいたいですね。