和牛と国産牛の違いって実は思っているよりも全然別物!というお話です。和牛とか国産牛ってラベルに書いてあるけど、どれも同じ日本産の牛って意味だよね?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。が!!和牛と国産牛にはかなりの違いがあるんです。では、一体何が違うのでしょうか?
和牛と国産牛の違いとは
和牛とは、日本原種の4品種のことを言います。国産牛は、日本国内で育った和牛じゃない牛です。
んん?なんだかわかりにくいですね。まずは和牛って何?というところを見ていきたいと思います。
和牛とは選ばれし4種族のことだ!
日本原種の4品種だけを和牛と呼ぶことができます。
ズバリ
– 黒毛和種
– 褐毛(あかげ)和種
– 日本短角種
– 無角和種
の4種類です。
ちゃんと言うと日本古来種そのものではありません。改良のため、たくさん外国の牛と交配を重ねていて、原型がほとんど残っていないと言われているからです。
和牛同士を交配した牛も「和牛」と呼んでOKです。例えば黒毛和種と褐毛(あかげ)和種の子供も和牛と表記して良いわけです。
和牛は食べるアート
「和牛は芸術」とも言われ、肉のうまみ、サシ(脂のノリ)、やわらかさなどを極限まで追求した言わば美術品です。
最近では海外からもかなり注目されています。外国人もBeefと呼ばずに「WAGYU」と日本語で呼び、その最高級の味わいを求めてわざわざ日本に食べに来る人もいるほどです。
和牛が販売される際には必ず「和牛」と表記されます。公正取引委員会が認定する「食肉公正競争規約」によって、表記することが認められているんです。
では、国産牛とは何でしょうか。どっちも日本の牛ということには変わりないんじゃないの?と思うかもしれません。
じゃあ国産牛って何?
簡単に言うと「和牛以外の日本産牛」と言う、実にアレな分類となっております。そして、国産牛と書いてスーパーで売られている、そのほとんどが乳牛(ホルスタインやジャージー牛)です。
本来牛乳をいただくための乳牛(まぎらわしいよね 牛乳と乳牛)が年老いてお乳の出が悪くなったりすると廃乳牛として出荷されます。廃乳牛の肉質は残念ですがあまりいいとは言えません。そのほとんどがひき肉などとして、食卓へ提供されていきます。
乳牛は雌だけがお乳を出すわけですから、雄が生まれると用がありません。少し残酷に感じるかもしれませんが、肉質向上のために去勢などをして育て出荷されます。
ほとんどが乳牛ですが、外国から子牛を輸入して日本国内で育てた牛も「国産牛」となります。
国産牛にだって魅力はある!
国産牛の魅力は何と言っても安さです。スーパーなどに並ぶ国産の牛は、ほぼ「国産牛」で占められています。
和牛と違いとても安価で、味だってそこまで極端に悪くない。家計にとっては強い味方ですよね。毎日和牛食べてたら、たぶんすぐに破産しちゃいます。
国産牛と和牛のハーフ F1ちゃん
国産牛はほとんどが乳牛です。家計の味方なんですが、なんとかこの乳牛を食肉用として高く売りたいと考えた生産者はF1と言われる牛をつくりだしました。
これは乳牛(雌)に和牛(雄)を交配させてできた牛のことです。単純な乳牛種よりもおいしいので、高値で売れます。生産者にとってはかなりの助けになるんですね。
ちなみにF1牛はfirst filial generation(雑種第一代)の略だそうです。Filialが「雑種世代の」1が「1代目」ということでF1となりました。
ちなみにA5ランクとかの意味は
よくA5ランクの高級和牛とか銘打ってめちゃくちゃいいお値段で売っているのを見かけますよね。A5ランクの意味などもまとめているのでよろしければご覧下さい!
和牛の種類とは
和牛は基本的には以下の4種類を指します。
黒毛和種(くろげわしゅ)
よく「黒毛和牛」と表記されますが同じ物です。その名の通り全身真っ黒な牛で、松坂牛、米沢牛、神戸ビーフ(但馬牛(たじまうし))などは黒毛和牛です。誰もが一度は聞いた事があるんじゃないかな?
この黒毛和牛は日本の和牛のうち95%を占めるほど多く、和牛と言えば黒毛和牛と言っても過言ではありません。
肉質は「サシ」と呼ばれる鮮やかな霜降りです。黒毛和牛の美しさは見る物を魅了し、口の中に入れるだけでとろけ出します。人生で一度は食べてみたいお肉ですね。
褐毛和種(あかげわしゅ)
赤いかと言われると茶色に近いかもしれませんが「あか牛」と呼ばれ主に熊本や高知で飼育されています。熊本では「熊本あか牛」、高知では「土佐あか牛」と呼ばれ高級食材として日本のごく一部にしか流通していません。
黒毛和牛が「霜降り」を売りにしているとしたら、こちらは「赤身」を売りにしています。脂肪分がとても少なく、健康ビーフとも呼ばれていて霜降りが苦手になったおじさん世代には絶大な人気だとか。
日本短角種(にほんたんかくしゅ)
岩手牛に代表される日本の北の方で飼育されている牛です。青森や北海道の方でも飼育されていて、冬の間は牛舎で過ごします。
そのルーツは南部牛とされていて、旧南部藩(現在の岩手・青森・秋田)で飼われていた牛を明治の頃にアメリカから連れて来た牛と交配し、現在に至ります。
肉質は脂肪分が少ない赤身肉ですが、うまみの素となるアミノ酸をめちゃくちゃ含んでいるため噛みしめると肉の旨さがブワーッ!と広がる肉です。
無角和種(むかくわしゅ)
山口県阿武郡周辺でのみ飼育されているとても貴重な牛です。平成6年には250頭まで減少し絶滅が危ぶまれましたが、地元の力強い信念により無角和種繁殖センターが作られ、復興再生の道を歩んでいます。是非応援したいですね。
肉質は低脂肪で赤身が多く、すごくヘルシーだけどしっかりと肉のうまみを堪能できる。人生で一度は食べてみたい肉です。
伝説の日本在来種「見島牛(みしまうし)」
日本古来からいる牛と言われ、西洋種の影響を受けていない日本の在来種はこの見島牛と口之島牛の2種類しか残っていません。昭和3年(1928年)に天然記念物に指定されています。
明治時代から牛の需要が爆発的に伸び、改良していくうちに外国の牛と交配させまくってしまったため、日本古来の血を残した牛がほとんどいなくなってしまいました。
市場には年間12頭ほどしか出回らない幻の牛とで、食べられるのならいくら払ってもいいと言う人がいるほど。見島牛は現在、東京都・銀座「小熊」で特別に予約を取れば食べられるそうです。いつか行きたい・・・。
見島牛とオランダ原産のホルスタインを交配させた見蘭牛が存在していて、そっちのほうが、まだ食べられる機会がありそう。「見島」とオランダの「蘭」の字を取った名前で、最初はミラン牛と読んでいました。ケンランギュウだそうです。
和牛と国産牛の違い まとめ
簡単に言うと日本国内の牛は「和牛」と「国産牛」に別けられます。そして和牛は基本的には4種の決まった牛を指します。「黒毛和種」・「褐毛和種」・「日本短角種」・「無角和種」とに別れ、販売時には必ず「和牛」と表記されます。
それ以外の国内産の牛を国産牛と表記します。と言ってもほとんどが乳牛(ホルスタイン、ジャージー)です。スーパーで売られている牛のほとんどが国産牛です。中には粗悪品もありますが、海外の牛に比べるとかなり低い率なんじゃないかと思います。
いつかは日本の和牛を食べ歩く旅に出たいと夢見ております。そのためには、莫大なお金が必要でありますが、一向に貯まらないのであります。夢のまた夢です(涙)。